スタートレック・叛乱

『スタートレック・叛乱』
ST9


【総論】

シリーズ中もっともアウトドア感覚にあふれた作品。
もともと2部作の予定だったそうだけれど、ヒットしなかったので幻となった。でも観た印象としては、あれが2部作になるようなエピソードとは思えなかった。
公開時はあまり評判が良くなかったけれど、今にして見れば案外良いところが多い。導入部からして、SF映画とは思えない清々しさだ。前作「ファースト・コンタクト」からガラリとイメージを変えたかったのだろう。
評判が悪かった原因は間違いなく宣伝内容とタイトルにあると思う。内容がちっとも「叛乱」していない。ピカード艦長やエンタープライズは終始ごく真っ当な行動をしているわけで、あれが叛乱なら「スタートレック6」のスールー船長だって叛乱だ。じゃあドワティ提督か?と思うと、彼は判断を根本から誤って、あげく収拾できずに自滅しただけだ。(だって、一応艦隊司令部も承認したわけでしょ?)結局、何が"叛乱"なのかいまだに判らないし、日本の宣伝にあった「エンタープライズが反乱を起こす!」なんて、まるで的はずれと言わざるを得ない。結局タイトルに....期待し過ぎたんでしょうね、やっぱり。
個人的には映画パンフにコメントを載せて貰った、思い出深い作品。

【この作品のポイント】

☆冒頭に出てきた遮蔽スーツ。よく出来ているけど、どんな使い方をしているんだろう?別にバクー人達を間近から観察する意味はなさそうだけど、年中行事とかに混じって見てくるのかな?(見えないだけなので、接触しないように逃げ回るのが大変そうだ。)そもそもあんなこと、他の"未開の"星でもやってるんですかね?

☆ピカード艦長は「外交任務には向いてない。宇宙探検が性に合っている。」と言うが、僕はあの人って絶対外交任務に向いていると思う。

☆ピカード艦長が頭に載せてもらったハチマキみたいな飾り、あれは栄えある勲章みたいなものなのだろうけど、演奏要員のクルーが吹き出しそうになっちゃって台無しだ。毎週のように新文明と接していても、やっぱり面白かったんだなぁ。...

☆気のせいか、最初のうち、ピカード艦長はウォーフに気を遣っている。「さすがウォーフだ。」と付け足すほどのことじゃなかったと思うけれど..。やっぱり「ファースト・コンタクト」で罵ったのがまだ後ろめたいんだろうか? (あれを言った後は吹っ切れたのか、「軍法会議は免除する」とからかう余裕が出てきたようだけど。)

☆バクー村の「テクノロジー拒否」って、やっぱり無理があると思う。どうやら井戸やダム施設の技術は良くて、エレクトロニクスはダメ? 線引きの意味が分からない。
それを言ってしまうと、そもそも艦隊のプライムディレクティブ(他文明に干渉してはならない)も無理があるわけだけど。

☆このエピソードにはDS9で描かれたドミニオン戦争が影を落としている。艦隊はソーナと手を組むことでテトラセルホワイトの製法を握り、ジェムハダー(ドミニオンの尖兵)との戦いを有利にしたかったわけだ。(同時期、DS9ではドミニオン側がソーナ基地の話をしていた。)字幕ではテトラセルホワイトという単語が略されちゃっているので、このへんの事情を想像しにくいのが残念。

☆ホロデッキや転送機を使った"犯罪"というのは、あの時代いろいろありそうですね。誰もができるわけじゃないだろうけど、ホロデッキに転送して殺人して戻す..なんてことをやられたら、検証が大変そう。

☆この作品で初めて言及された"バサード・ラムスクーブ"。ワープナセル前方にあって、星間物質を取り込む装置だけど、何もあんなところに付けなくてもいいような気がする。メトレオンガスもだけど、うっかり危険なものを取り込んで、すぐ後ろのワープナセルに引火したらどうする?

☆でも、ライカー作戦はいいねぇ。派手で危険だ。あれじゃエンタープライズも被害甚大だったろうけど、男はやっぱりライカー作戦でしょ!


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